比丘尼の残夢【完】
私のご主人様は確か、そういう名前だったのだ。

今思い出した。



「直嗣...... 」

名前を呼んで、力の限りに抱きついて。

抱きしめられた。


「ナナミ、有難う」




さようなら、私のご主人様。


貴方がたとえいなくなったとしても、この瞬間を私は覚えている。

朝がきて、二度と会えなくても私は忘れない。


だからこれからは......

貴方は、私は一人ではない。
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