君とアタシのkiss☆

愛の次

穂香side

泣いても、いいの・・・?
泣いても、いいの・・・?
泣いても・・・・・・。


あたしの頬に、一粒の涙がこぼれた。
一度、こぼれると止まらなくて。

「っ・・・。」

『泣き出してもいいよ。』

小さいとき、よくリョウジがあたしに言ってくれた言葉。

でも、もうそんな言葉はきけない・・・。
今でも信じられない。

‘中学を卒業したら、上京しなさい’

さっき、お母さんがあたしに言った。
ふざけてないのは、分かってる。
だって、お母さんの顔が本気だった。

「冗談でしょう??」
あたしは、
信じられなくて、
信じたくなくて、
信じることが出来なくて。

冗談じゃないことくらい、
あたしは、分かってる。
よく理解してる。

だけど、
信じたら、
あたしは・・・。

普通では、いられなくなる。

あたしの瞳から、大粒の涙がこぼれる。

「リョウジ・・・。」

あたしは、ベッドに寝転がる。

『泣き出してもいいよ。』

その台詞だけが、頭を横切る。

『ばか。泣くわけないじゃん。』

強がって、泣かなかったあたし。

「弱くなった・・・?あたし。」

あたしは、今強がることさえ出来ない。

リョウジに
ただ、
会いたくて、
話したくて、
一緒にいたくて、
それも・・・叶わないの?

あたしは、ただリョウジと一緒にいられる。
それだけでいいんだよ。
ただ、それだけで・・・。

たった、一つなんだよ。

叶わない夢じゃない。

あたしは、この恋を中学最後にしてほしくない。

あたしは、弱いから。
弱虫だから。


愛は、越せないって思ってる。

あたしは。







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