君とアタシのkiss☆

本番。


あたしは、いつもより早く起きた。


腕がロボットみたいにカクカクする。



『間違えたら、どうしよう』




“来るな”


とまで言われたあたしが、緊張しないはずがない。


行進するとき、手と足が同時に出るくらい動揺を隠せなかった。


みんなにこやかな顔をしていた。


あたしは、前日、一生懸命練習したんだ。


間違えない。


間違えない。


そう言い聞かせた。



『出来る』


あたしは出来るんだ って意地でも言い聞かせた。



あたしはプログラムナンバー7。


知った直後は、

『ラッキーセブンだぁ』

とか言って浮かれていたけど、今はそんな場合じゃない。

真剣勝負なんだ。


今までそんなこと感じたことはなかった。


でも、誰にも迷惑かけたくないだとか、そんなこと考えていた。


自分のためではなく、他のためにと思った。



あたしは、


弾いたんだ。





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