幼なじみなんてッ!〜近くて遠いアイ・ラブ・ユー〜
帰るつもりはない。
あんな家に……
帰りたいなんて思わない…
「……棗」
心配そうに俺を見てくる花音
心配性の花音らしいな…
「大丈夫だって。そんな心配することねぇよ。」
「でもっ……」
「だったら花音が一緒に逃げてくれる?」
「……え」
「俺と一緒に…逃げてくれる…?」
「な、棗……?」
一気に戸惑いの表情になった花音
「冗談だって。そんな困った顔するな。」
ぽんっと頭を撫でた
「それは…出来ないよ…」
小さく花音が呟いた
「だって棗を生んで育ててくれたのは紛れもなく棗の両親なんだよ?!きっと今だって心配してる」
心配…だって?
「あいつらが心配なんてしてるわけねぇだろ!?会社の為に結婚させようとした奴だぞ」
そんな奴が俺の心配なんて……
「するよ!してるに決まってる!子供を心配しない親なんていないんだから!」
そう言う花音の目からは大粒の涙がこぼれていた