幼なじみなんてッ!〜近くて遠いアイ・ラブ・ユー〜
「親父……」
「帰ってきたのか。やっぱり花音ちゃんと一緒だったんだな…」
そう言ってあたしを見るおじさん
その目に恐怖を感じ、身体が引けそうになる
するとギュッと握っている腕を強めた棗
「大丈夫」そう言ってるみたいで、安心した
「親父、俺、玲華さんとは結婚出来ない。」
玲華さんって……
昨日のお見合い相手のことだよね?
「俺は自分の決めた相手と…ずっと一緒にいたいって思う相手と…結婚する。」
椅子に腰掛け、机に肘を着いているおじさんと、あたしの手を強く握りしめている棗が、目を話さず真剣に話している
ピーンとはりつめた空気の中、誰も口を開かない
そしてゆっくりと口を開いたのはおじさんだった
「お前は…伊沢を捨てるのか?」
小さく、どことなく悲しそうにそう言ったおじさん
部屋にこだましたように響いたセリフ