きみに愛を唄う
錆び付いた商店街
あぁ、もうこんな時間。
今はpm8:30。
季節はもう冬に入り、辺りは夜中のように真っ暗。
おまけに肌を刺すような寒さで、思わず付いたため息が白く染まった。
日の入りがどんどん早くなっていって、早い時間から暗いモンだから、もはや時間感覚なんて関係なくなっていて。
今日だって、友達と遊んでいて、気づいたらこんな時間になっていた。
寒さで赤くなった手を擦り合わせて、歩く速度を速めた。
そして差し掛かった、商店街。
商店街って言ったって、数年前に駅前に出来たショッピングモールの影響でお客は流れ、すっかり廃れてしまっていた。
明かりのついていない店々、閉められたシャッターは錆び付いていた。
閑散としている通りを抜ければ、家はすぐだ。
そう思って、真っ暗な商店街を駆け抜けようとした、その時――。
あたしは、思わず足を止めた