きみに愛を唄う
「~~~~・・・、」
唄が終わったのだろう、その歌声も、アコギの音も鳴り止んで、ただその残響だけが、この静かな商店街に響いていた。
――パチパチパチ
思わずした拍手に、そうやくその人が顔を上げた。
そしてその拍子に、その人が被っていた、ダウンの下に着ていたであろう黒のパーカーのフードが外れ、金髪の髪が零れ落ちた。
「――っ」
思わず、息が詰まった。
真っ暗なはずなのに、その金色は光り輝くようで。
そう、まるで・・・、
“月”のようだと、思った――。
「・・・おにーさん、
いつも此処でストリートしてんの?」
緊張で震えそうになる声を必死に耐えて、そう声を掛けた。