Painful Love※修正完了※
エレベーターから踏み出せ、ば。
「……時雨」
……どうして、貴方は。
こういう、決意を決めた時にすぐ、わたしの前に現れてくれるんだろう?
離れる、と決めた時に、屈託のない笑顔をわたしに向けるのかな?
卒業式の日もそうだった。
終わったら、すぐ荷物を持って離れなきゃいけない。
それを気付かれないようにしないと、と気を付けていたわたしに笑顔を向けていて。
一瞬、決意が揺らいでしまいそうになった。
離れなきゃいけないのに、
あぁ、やっぱり離れたくない、と。
ドアへと向おうとして視線を向けたわたしの視界に入ったのは
「拓、斗……」
この前で、
拓斗に会うのは本当に最後だって思っていたのに。
最後の最後に、あんな別れ方したのに。
それがまるで無かったことのように、笑ってる。
―――ドアに背を預けた拓斗。
笑顔でこっちを見ているけど、どのくらい待っていたのかな?
暇潰しに利用していたらしい携帯は、開いたまま拓斗の手の中。
「どうしたの?」
近付きながら聞けば、拓斗を携帯を閉じてドアから体を離す。
「話があって、さ」
「ごめん、出てた」
連絡してくれれば……と言いそうになって、番号を拓斗に教えて無かった事に気が付く。