Painful Love※修正完了※
「……卒業したら、こっちに戻って来いよ」
あぁ。その事ね。
拓斗、何度言われてもわたしの意志は変わらないよ。
「拓斗と佐奈子さんの結婚式に出席する為に?」
わざと拓斗の考えてる事は分かっているのに、別の事を聞く。
わたしが言えば、拓斗の双眼が微かに見開き揺らいだ。
「卒業したら結婚するんじゃないの?」
それなのに、戻ってこいと?
こっちに戻ってきても、
そのまま向こうに居続けても、
同じ事でしょう?
それなら、わたしはそのまま向こうに住み続ける。
1人で、もっともっと頑張らなきゃ……。
「そうじゃない」
さっきより力なく、でもハッキリと言葉を発する拓斗。
「婚約は破棄するつもりなんだ。時雨……帰って来いよ」
グッと机の下、自分の膝の上に置いている両手を握り締める。
わたしは幸せ者だよね。
黙って消えていったのに、それを強く責められる事も無く、
好きな人に『戻ってこい』とまで言われて。