Painful Love※修正完了※
何でだろう、
声が震える……と思ったら視界が滲んで来た。
顔を上げることが出来なくて、
俯いたままだけど、拓斗は黙ってわたしの話を聞きながらこっちに視線を向けてくれている。
どんな顔してるのか、分からないけど、傷付くだろうなぁ……。
「嫌だったから、黙って別の大学を受けて、何も言わずにこの街を出たのに」
拓斗を縛り付けてるのが。
「このまま拓斗と同じ大学に行きたく無かったから」
拓斗の傍に居たら、
何かあるたびに頼ってしまっていつまで経ってもわたし自身は成長できないから。
「もう、お願いだから忘れて……」
余計なわたしの心配なんてしなくて良いから、
自分の事だけ考えて。
――――ガチャッ
ドアの開く音がして、拓斗と二人きりだった空間からハッとする。
「……叔母さんだ」
そう言って、拓斗の方を一回も見る事無く廊下へ出る。
いつ零れ落ちてしまうか分からなかった涙も、さっと拭って。
「お帰りなさい」
「あ、もう起きたの?」
「……はい」
流石に起きてないと、苦笑いで答えたわたしに叔母さんは後ろ手でドアを閉めた。