Painful Love※修正完了※
それについては声に出して語り掛けることも出来ずに、近況だけ報告をして。
お父さん達のことだから、声に出さなくてもわたしの心の中、見られてるかな。
帰ろうと思いながらもしゃがみ込んだまま。
まだ、ぼんやり墓石を見ていた時。
「……時雨!」
突然、わたしの名前を呼ぶ声が耳に飛び込んで来て、わたしは反射的に立ち上がった。
振り返り声をした方へと顔を向けると、通路の先の階段を駆け上がってくるスーツ姿の男。
真っ直ぐわたしを見ているその顔に見覚えがあって、すぐに誰なのかが分かったわたしは逃げ出そうと反対側の通路を向いたけど……。
駄目。行き止まり。
あ……。
どうすることも出来ずに立ちすくむしかない。
向こうからの通路から走って向かってくる男性。
早まる心臓の鼓動。
手先が、震えて来たのが分かった。