Painful Love※修正完了※
ニッコリ笑った佐奈子が見えた後、
ガチャン、と良い音を鳴らして閉まったドア。
階段を降りる足音が聞こえ、やっぱり俺も下に……と慌ててお盆に食器を乗せて部屋を出る。
もう少しで一階……の時。
「佐奈子ちゃんもう帰るの?」
リビングから見送ろうと出てきた母さんが見えて、足を止めた。
「はい、お邪魔しました」
カツン、とヒールが鳴る。
と、
「佐奈子ちゃん、どうしたの!目!拓斗に酷い事されたの!?」
母さんの驚きの大きな声に、
俺は冷や汗が出たのを感じた。
何だよ、酷い事って……。
しないし。
や、婚約を破棄した事が佐奈子に対しての酷い事、か。
今さら出るに出れなくなってしまった俺。
「違いますよ。……振られちゃいました」
「え……?」
佐奈子の声色は明るくて、
無理矢理明るくしてるんだと思うと、申し訳なくなる。