Painful Love※修正完了※

口を開こうとすれば、真っ直ぐ。

もうわたしに何も言わせない顔で言われて、

言葉をぐっと呑み込む。


「で、その時に佐奈子に『拓斗には幸せになって貰いたい』って言ったんだろ?」


言った……けどっ!


本人を目の前にして言われて、恥ずかしい。

体が熱くなってくるのが分かる。

「だから、俺を幸せにしてもらおうと思って。コレ……二つとも受け取ってくれるよね?」

涙が、出てきた。


こんな結末、望んで無かった。


誰かを不幸にしてまで、わたしが幸せになっちゃいけないんだ。

もう既に、わたしはお父さん達に悪いことをしてしまっているのだから。







お父さん達だって何の問題もなく生きていくはずだった時間を、

わたし一人だけが生きているんだから。


「佐奈子のことは気にしなくていい。時雨を……他の人を思っている男と愛の無い結婚をする方が、佐奈子は不幸だろう?」

「でも、」


「……どのみちもう別れたんだから。佐奈子も『もういい』って言ってたし」


「……」


「何もかも、余計なことを考えないで。俺と結婚してくれるのか、嫌か。それだけを。時雨の気持ちを聞かせて?」


何もかも、考えないで。


佐奈子さんのことも、


婚約してたってことも。


またわたしが傍にいると拓斗のお荷物になってしまうと言うことも。

縛ってしまうってことも。


何も、考えないで、わたしの気持ちで……。

そんなの、決まってる。



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