Painful Love※修正完了※
また泣きそうになるけど、ぐっと堪える。
「ありがと……指輪も、婚姻届も」
笑顔を作って拓斗に言えば、
拓斗もあの時と、高校の時から全く変わらない笑顔で笑って。
わたしを強く、抱き締めてくれた。
―――時雨、俺の幸せを願ってるって言ってたけど、俺の幸せ、聞いてくれる?
抱き締めてくれている腕の中、
ぽつり、ぽつりと言われた言葉。
涙は枯れることなく次から次に出てくる中、
わたしは目を瞑って、拓斗の心音を聞きながら小さく頷いた。
さっきまで暑かったはずなのに、
こんなにくっついて、密着してさっきよりも暑く感じるはずなのに、暑さではなく温かさを感じて。
扇風機の風が、心地よかった。
トントン、と小さい子をあやすように頭を撫でられながら、
拓斗はゆっくりと話してくれた。
――佐奈子から時雨が俺の幸せを願って離れて、
俺に幸せになってもらいたいって思ってることを聞いて。
ここに来るまでの間、俺の幸せって何だって考えてみたんだ。
自分の部屋で、実家で。
ここに来るまでの電車の中で。
で、沢山あったんだけど、
分かったのは、全部時雨がいないと出来ないことだった。