遥かなインド
「確かに美しい景色は追っているよ。

ここ西安かへ来る前、心パキスタンからチベット自治区を通過する時に

21日間を掛けて山道を通ったんだ。

途中素晴らしい砂漠の風景があった。

天と地がすごく近くてね

太陽がすごく近くて七色に見えるんだ。

あと砂漠の模様とかも本当に美しかった。

…けれどね、この世界にある本当に美しい景色を見ると…

カメラのシャッターを押せないんだ。

その場で五感で感じる以外に

その景色を感じることはできない。

写真に収めるのがもったいないと思うんだよ。」

「確かに…

本当に美しい景色は写真には収められないですよね…

私も日本の山陰で見た海の青さは写真には収めるのがもったいなかったもの…

だって写真の中には

風や海の匂いまで映すことはできないんだもの…」

「確かにね…その通りだ…」

ふと松さんは下を向きながらショットグラスに口を付けて
テキーラの一番強いヤツをショットで飲み干してカタンとグラスをテーブルに置いた。

そして話しを聞いて欲しかったのか自ら話し始めた。
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