遥かなインド
「最初、アフリカはモロッコへ行ってこの自転車の旅が始まった時

“やっと俺の夢が叶う”

と思って大はしゃぎで出発したさ。
しかし途中で裁判に巻き込まれたり
人に騙されたり
交通事故遭ったり…

中には本当に良い人もたくさんいたよ。

ネット上で俺を助けてくれる日本人も多かったしね…
でも、国を超える度にビザやら賄賂やら取られたりするし、

なんていうか…

塾講師をしていた3年間が自分の人生の中で一っ番楽しかったかな?


生徒の女の子かさ、

“先生~これわからない~”
とかって職員室へ来るんだよ。
最初はめんどくさいって思っていたりもしていたけれど
その子たちと相手をしていたり
難しい物理の定義を教えている時の自分の方が

活き活きしていたな、

世界一周の自転車の旅という目標もあったしね。
 
 世界一周をしていると一人になる時間が多いんだよ。

言葉が通じずコミュニケーション不足に陥ったこともあった…

逆にあまりにも時間があり過ぎて
自分が何をしたら良いのかわからなくなる時があるんだ。

この先どーしたら良いのか、
収入源はどうするか?
日本に帰ったら何するかすごく心配だよ。
 
もし本当の自分の夢が叶うなら
物理学者か学校の先生か、
また塾講師をやりたいな…
世界一周の自転車の旅が夢ではなかったことは確かなことだから…」

そう言うと松さんは青島ビールの瓶を一気に開けてソファー寝転がった。
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