遥かなインド
その年クリスマスの前、
12月20日のことだった。

中国へ旅立つ前に私は下宿のおばちゃんに挨拶をしに行った。しばらく会えないので部屋の管理をお願いしようと思ったからだ。

おばちゃんはにっこりと笑顔で出迎えてくれて話してくれた

「真子さん、貴女はあの時から比べてずいぶんと良くなったわね。」

「うん!
もう前の様に暗くて沈んでいた時とは見違えるくらい違うもの。
もっと世界を見たいのよ私!」

「“空の遠くの、なお遠く”」

またあの言葉だ…
なんでまたあの言葉をおばちゃんはくり返すの?

ちょっと不安がって疑問に思う私がいた。おばちゃんは再び話し始めた。

「空の遠くの、なお遠くってね 
ここじゃないどこかに自分の答えがあると思って旅立った人がね
結局は旅先で疲れたり失望してしまうの。
自分の家に戻ると庭先に綺麗な花が咲いていた。
結局は自分の家のお庭に答えがあったってことよ。」

「・・・・・・・・・」

その話しを聞くのは2回目だった。
その時と今じゃ状況が違うし世界一周をしている若者に会うことがその話しとどう繋がるのか当時の私には理解し難いものであった。
< 14 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop