「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
しかしながら実際のところは、李は迷っていた。

彗星が地球の近くを通過するのが二十六日後という限られた日数であり、もしも無機物生命体の可能性が出て、破壊しなければならないとなった時に、遅きに失することのないようにしなければならない。

その為には準備を早めに行い、早め、早めに手をうてるようにしておかねばならず、今回の全体会議で何らかの討論をしておいた方がよいのかも知れない。

李は考えていた・・・

二人が彗星の件で訪ねてくるなどとは、予想していなかったので、どう返答するべきか考えていると、原が

「総長の立場としては、最初に発言を行なうのは難しい状況ではないかと考えられますので、私どもで彗星の件を議題として取り上げるように発言しようかと思っておりますが、如何でしょうか」

「私たちが発言せずとも、おそらくは何れかの国か地域が発言するのではないでしょうか。彗星を不安視している国や地域は必ず存在すると考えております。私とジョンデイリー全権は総長の考えをバックアップしてゆきたいと考えており、できれば私たちで議論を主導していきたいのです」
と話すと、李は

「私自身は、何らかの討論をしておくべきかな、とも考えてはいますが、行過ぎた結論が導き出されることを心配しております。その事を承知しておいて下さい。議題として取り上げようと発言されるのは、加盟国として当然の権利であり、お任せ致します」
と言い、やや間をあけて

「心遣い、感謝いたします。私の友人であるジョンデイリー大統領ならびに笹田副首相と連絡を取る事があれば、よろしくお伝え下さい」
と言った。
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