「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
「それからは、そのランナーのことが常に気になり、ランナーの八十八ヶ所巡りの途中経過が載っている新聞記事などを欠かさずに読んでいたのです。ランナーは苦しみに耐え、どうにか八十八ヶ所を巡り終え、私も嬉しくて心の中で祝福の拍手を送り、勇気づけられもしました。おそらく日本中の心身のハンディを持っている人たちも喜び、勇気を与えられたと思います」
由紀たちが話をしている傍に、いつの間にかお婆ちゃんたちも寄って来ていて、前野の話を聞いている。
「ところが最後に高野山に向かう途中で、ランナーは心無いドライバーが飲酒運転している車に撥ねられて亡くなりました。ランナーが死んだ事は八十八ヶ所巡りを終えて注目が去ってしまった後だったので、大きくは報道されず、小さな記事が載っただけでした」
「私の心は悲しみに沈みましたが、その時に勇気ある義足のランナーがたどった道程を私も挑戦してみようと思ったのです。それからは毎日、お四国巡りにトライする為にリハビリに励み、ある程度は後遺症も克服できて、今から七年前に八十八ヶ所を巡り、ひとりで歩きとおす事ができました。私にも、やろうと思えば、できるのだと自信がつき、それからはハンディを背負った人の為のボランティア活動をしておりまして、今回は二度目の歩き遍路なのです」
話を聞いた由紀は
「立派ですね。政界の表舞台で活躍していた人が、ボランティア活動とか、なかなかできないですよね」
と言うと、前野は
「そんな・・・立派だなんて言われると恥ずかしいですね。誰でも少しの気持ちと時間があれば、そんなに難しいことじゃ無いのです」
由紀たちが話をしている傍に、いつの間にかお婆ちゃんたちも寄って来ていて、前野の話を聞いている。
「ところが最後に高野山に向かう途中で、ランナーは心無いドライバーが飲酒運転している車に撥ねられて亡くなりました。ランナーが死んだ事は八十八ヶ所巡りを終えて注目が去ってしまった後だったので、大きくは報道されず、小さな記事が載っただけでした」
「私の心は悲しみに沈みましたが、その時に勇気ある義足のランナーがたどった道程を私も挑戦してみようと思ったのです。それからは毎日、お四国巡りにトライする為にリハビリに励み、ある程度は後遺症も克服できて、今から七年前に八十八ヶ所を巡り、ひとりで歩きとおす事ができました。私にも、やろうと思えば、できるのだと自信がつき、それからはハンディを背負った人の為のボランティア活動をしておりまして、今回は二度目の歩き遍路なのです」
話を聞いた由紀は
「立派ですね。政界の表舞台で活躍していた人が、ボランティア活動とか、なかなかできないですよね」
と言うと、前野は
「そんな・・・立派だなんて言われると恥ずかしいですね。誰でも少しの気持ちと時間があれば、そんなに難しいことじゃ無いのです」