「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
資料の保管室に着くと、科学者はスティーブに、スティーブに関係すると思われる資料がある場所を教えてくれ、どのくらいの時間が資料を調べるのに必要か訊いたので、あまり何日も掛けて調べていると、何かを探ろうとしていると思われてもまずいと思い

「明日にはサンフランシスコへ帰るので、今日、一日は調べたいと思います」
と答えた。

科学者は了承してくれて、何か知りたい事柄があれば、自分の携帯電話にしてくれるように言い、電話番号をスティーブに伝え

「誰かが、この部屋に来れば、私の名前を出して調査をしているのだとでも言っておいて下さい」

と言い残して部屋を出て行った。

スティーブは科学者に感謝し、早速に調べ始めた。

まず自分自身の戦闘現場から調べてゆく。

スティーブは自分の目の前で行なわれた戦闘については、もちろん覚えているが、周囲の状況や、それまでの戦闘経過とか、戦闘における損害状況などは初めて目にする内容であった。

そして自分がとどめを刺した無機物生命体が落下した地点が記されている箇所を見つけると、かばんを開け、モニカから預かった遭難船の種類や船名と沈没した地点と思われている場所を記した資料を取り出し、照合してみた。

すると自分が葬った無機物生命体の落下地点と考えられている場所で、日本からアメリカに向かっていた自動車運搬船が消息不明になっている。

その期日は一ヶ月ちょっと前で、スティーブが月面基地を利用して、宇宙戦闘機の最終段階のテスト飛行を行なっていた頃であり、スティーブは、その事実を今、始めて知ったのだった。

自動車運搬船の消息不明地点と無機物生命体の落下地点が、双方とも確定している位置ではないものの、ほぼ一致している。
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