「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
どこで、どのように対処すればよいのか、難しい判断を迫られている。

フランス全権が、早めの対処を主張して、核ミサイルを早めに発射してはどうかと発言すると、以前の無機物生命体の襲撃で大きな被害を被ったヨーロッパ諸国は、同調する気配を見せるが、被った被害には各国間で濃淡があるためなのか、ヨーロッパ諸国が、必ずしも一様に賛同の意を示すわけでもなく、意見は一致しない。

三日後に打ち上げ予定のカメラ衛星の観測結果次第で、核ミサイルの発射を検討してみてはどうかと意見を述べる国も存在するが、それでは遅すぎるのではないかと危惧する意見も多くて、なかなか意見をまとめるのに困難な状況である。

議論が白熱してくると、中には今すぐにでも核ミサイルを発射しようと主張する国も現れてくるし、そうかと思うえば、無機物生命体でもない新彗星を短絡的に即座に破壊しようとするのは、今後、彗星や小惑星が見つかる度に破壊する事に繋がる可能性があり、宇宙空間に存在する宇宙船や宇宙ステーション、火星入植地や月面基地、そして地球にも影響を及ぼす可能性があるので容認できないと、反対意見を述べる国も出てくる。

また破壊するのを第一義とした議論は、今後エスカレートして何もかも我々にとって不都合な事柄は、即時、破壊してゆくといった攻撃的な状況や感覚を生みはしないかと心配する意見もあり、将来、多数の人類が火星や他の惑星の衛星で入植地を開拓して、そこの人口が増えて、もしかして何らかの不安定要素が生じた場合に、攻撃的な感覚が、惑星入植地と衛星入植地間とか地球との間における、人類の争いや戦争に繋がりかねないと、未来を悲観した考え方になると述べる全権も居る。
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