「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
「本当・・・私、こんな雰囲気の温泉に入るの、初めて・・・何か、わくわくするね」
と言っている。

いくつかの種類の入浴料があり、神の湯二階席の入浴料を払って中に入ると、二階の脱衣所に向かった。

本館の中には皇族だけが使用できる又新殿という入浴施設もあり、実際に昭和天皇が利用され入浴されたらしい。

見学料を払えば、又新殿内を見学できるのだが、六人は温泉に浸かるのが目的なので、見学はせずに二階の脱衣所に上がって行った。

二階の脱衣所は大広間になっていて、浴衣が入った大きな行李を持ってきてくれて、その中に来ていた衣類を脱いで入れて、入っていた浴衣に着替えると一階の浴室に行くようになっている。

ただし大広間の脱衣所には男女の別が無い。

脱衣所の大広間は老若男女すべて一緒であるし、隠すものも、隠れる所も無い。

それに気がつき
「え~、うっそ~、私、恥ずかしい」
と理絵が言い、由紀も

「知らなかった・・・これはちょっと恥ずかしいかも・・・」

と呟いているが、他の入浴客たちは、何の躊躇いもなく、さっさと着替えては浴場に向かってゆく。その中には、もちろん、若い女性客も居る。

それを見ていた由紀が
「ここで着替えるしかないわね。勇太さん見ないでね」

と小声で言って、着替えを始めるのを、理絵が

「何てことを言うの、バーカじゃないの。見るわけ無いでしょう。誰が見るのよ年増の下着姿なんか」
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