「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
最初に見えてから、一時間近くが経過しただろうか、ついに船体の全体が現れて、東シナ海で行方不明になった大型コンテナ船だと確認されたが、先に発見された日本の調査船よりも物体に埋もれているように見える。

その時、映像を見続けていた李に、ひとつの疑問が浮かび、李の前の席で映像を見ていた登志則に問いかけた。

それはスティーブも、なぜだか分からないと言い、登志則にも昨日、李に説明する時には分からなかったので言っていなかった事柄であるが

「物体が無機物生命体だとして、無機物生命体は距離を考慮しながら進んできていると言ったが、北太平洋から東シナ海に向かっていったのは、何故なのか。私が思うには小笠原海域のほうが距離的には近く、先に向かってもよいのではないかと思うのだが、君は、それを、どのように考えているのか」

登志則は、昨夜から、その事を考えていて

「私が考えますには、おそらく無機物生命体は、北太平洋からカリフォルニア海流と北赤道海流の流れを利用して移動したのだと思います。海流を利用して東シナ海へ移動する方が、日本海流の流れに逆らって小笠原海域に向かうよりも、時間的に早いと判断したのではないでしょうか。それか、もうひとつ考えられる理由としては、自分の仲間が数多く眠り、無機物生命体の残骸が多数存在するであろう小笠原海域を最後の地点に選んだのかも知れません」
と答えた。

李は、なるほどと頷き
「やつには、やつなりの理由があるのか」
と呟いた。

考えれば、考えるほど物体は、無機物生命体だとの結論に近づく。
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