「金剛戦士Ⅱ」西方浄土

物体は相変わらずに、ゆっくりと回転を続けている。

まもなく午前九時になる。

李は、安全保障会議の会議場に向かうこととした。

李が会議場に到着してドアを開けると、会議場の中は、相当ざわついていた。

それが李の入場とともに、一瞬に静まりかえった。

会議場に居る、すべての全権が、本国からの緊急連絡により本日の会議の内容を知っている。

李が会議場の中央に進み出ると、会議場に居る全員の視線が李に集中して、表情は硬く緊迫した空気が流れた。

その中で李が話始めた。

「みなさん、本日の会議は、すでに本国からの連絡により、ご承知であると思いますが、新彗星の件ではありません。新彗星は、現在までの観測により無機物生命体の可能性は否定されており、とりあえずは、以前の全体会議で科学者から説明があったように、カメラ衛星での追跡観測を継続してまいります」

「新彗星の件は今後、異常があれば報告して、討議するものとします。また将来において、同様の事態が発生した場合の対処方法についても、会議を先延ばしして、また新たに招集致します」

会議場に出席している各国の全権は、本国からの緊急連絡で知らされた、太平洋上に突如として出現した小笠原東方海域の物体が、無機物生命体ではないかと危惧しており、李を見つめる表情が強張っている。

「ただいまから討議する内容については、すでに、本国からの連絡で、ご存知であると思います。それは小笠原東方の太平洋上の海域で発見された物体に関してでありますが、事は緊急を要します」