「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
なんでも、夜になると四万十川の河口付近の川底で、巨大な魚が、うごめいているのが見られ、その魚の目は不気味に赤く光って見え、舟釣りをしていた漁師が釣ったそうだが、漁師が引き上げる力よりも、魚の引く力の方が強くて、川の中に引きずり込まれたのだが、結局、助けられずに、魚に飲み込まれてしまったらしい。

その不気味な赤い目を光らす魚がアカメというのだそうだ。

由紀が、それを聞いて、怖がりながら

「なんと恐ろしい・・・ほんとに恐怖だわ」

と言い、突然に話をしてくれていた地元の人に向かって

「アカメと人食いアメゴの、どちらが大きいのですか」

と訊いたので、訊かれた地元の人は困ってしまい

「人食いアメゴというのは、私は知りませんし、アカメも生息している姿を映像では撮られたりしているのですが、幻の魚だと言われていて、滅多にお目にかかれないそうで、実際に、私も四万十川でアカメを見たことが無いので、分からないんです」
と答えた。


昼食後、足摺に向かう。

四万十市内を出て、四万十川沿いを河口に向かって進んでいくと、理絵が

「この川が、お兄ちゃんから聞いたことのある、四万十川かぁ・・・広くて蕩蕩としているね」
と運転をしている勇太に言った。

その時、後部座席の車窓から由紀が川面を見ながら

「怖いわねぇ・・・ここら辺りに人食いアカメが住んでいるのよ」
と呟いている。
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