「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
二人にしても、母国の復興で相当忙しかったのであるが、李は、それにも増して激務をこなしている。

二人にすれば、李総長以上の事務総長は存在せず、頼りにしている。

今後も、遂行していかねばならない課題や政策が山積みであり、健康の維持管理に充分注意するように懇願した。

李は感謝の言葉を述べ、二人も国内の施策に全力を尽くせるように、健康には気を使い、そして今後とも、共に努力していきましょうと語った。

無機物生命体の襲撃で大変であった時分を思い出しながら話をしていると、夕食の用意が整ったと連絡があり、夕食の用意をしてある部屋へと移動する。

食事は公的な行事ではなく、私的に行なわれており、部屋には三人がテーブルを囲んでいる以外には、時々ウェイターが料理の上げ下げに来るのみである。

食事をしながら、先ほどからの話の続きをしていたが、ジェラルディーンが不意に小声で

「新発見の彗星が見つかったと発表があり、無機物生命体の可能性は、ほとんど無いと否定されておりましたが、実際はどうなのですか」
と李に訊ねた。

「科学者や天文学者は、無機物生命体の可能性はほとんど無いというのだが・・・」

と李は、やや首をかしげながらも続けて、小さな声で

「こんなことは公には言えないのですが、私自身は不安なのです。専門家が言うのだから間違いは無いと思うのですが、どうにもこうにも以前の無機物生命体が地球に接近して来た時の事が思い起こされてしまって、何とも言えない不安がよぎるのです」
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