恋。







「!?」




慌てて声のする方を見る。





そこには


同じ高校のジャージを着た、一人の男子が立っていた。







「100円。ポケットに入れたでしょ!見てたよ。」





「は?」





思わず”は?“って言ってしまった。



だって、
この男に100円を渡すのは気に食わない。




だから、


「私が拾ったから私の!」


と言ってしまった。



なぜだかわからないけど。



「いやでも持ち主は俺だしさ。」



「証拠は?」



私は引かない。
絶対この人には渡さない!!!笑







「んー。
そんなにほしい?」





男に言われた。


その質問に“はい”と答えるのも気に食わないが、




「まぁ。金が今ないから。ほしい。」





このままじゃ
また返さなきゃいけない流れになると思ったので、




軽く“はい”の返事をした。





「そんなに金ないの?」




「うん。」





「ほら。」





私の手のひらには
見知らぬ1000円札が置かれていた。




「え?」




男を見る私。


「金ないならやるよ!」






そういって
私に背を向ける男。



「ちょっ!」




困った。


これでは
私が“ただの金がほしい人”みたいだ。





「あのっ!!!!」




とっさにでた言葉は、


“あの”
だった。






「ん?」



振り替える男




「名前は?」





「宮野 健二」





“みやの けんじ”


名前が頭に記憶される。




「かならず
かえすからねえー!!!」




その言葉を叫ぶと、
彼、宮野はまた私に背を向け




歩き



さっていった。










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