灯火

「あ～ぁ…」

まるで他人ごとの様にその様を見届け、溜め息をひとつつくと一番奥の自転車を起こしに向かった。

「見事だな」

私が行くより先に、一人の男の人が見事な有様を見て自転車を起こし列から外した。

「す、すみません」

その人の言葉は別に私に対して発せられた事ではないようで、彼は無言で他の自転車を起こしていく。

慌てて自分も逆から自転車を起こした。

ドミノの様に倒れたといってもそれは数台で殆どを彼が直してくれた事もあり、あっという間に自転車は綺麗に並べらた。

「あの、ありがとう御座います」