灯火
思わず箸が止まった俺にすかさず突っ込んでくる健二は、興味津々に体を乗り出してくる。

「…高校の時に。でも何もないから」

飲み込まれまいと気を取り直し箸を進めたが、健二はもう食事どころではないといった感じで、箸まで置き俺を離してはくれなさそうだった。

「でもお前と会話できる女だぞ!貴重じゃん!」

なにげに失礼な奴だ。

「友達…だから」

『食べろよ』と、健二に催促するが一口食べるとまた悩みだすの繰り返しで一向に進まない。

「…その子はお前とは違うと思うんだけど」

口の中にあるご飯のせいで言葉がこもる。

「なんて?」

「…いや、別にぃ?」

気が済んだのか、健二はそれ以降何も聞いてはこなかった。

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