灯火
「でも連絡は取ってるんでしょ?」

「…まぁ」

「告白しないの?」

その質問に思わず俯く。

もちろんしようと思った事はあった。

でも出来なかった。

しなかったのではなく出来なかった。

それには理由があるのだけれど、結局は自分が弱虫だっただけ。

『後悔する前にさ』と頭をポンと叩かれ励まされてしまう。

「連絡取り合ってるんならチャンスあるから!」

彼氏持ちの妹はなんとも逞しく自信満々に言ってのける。

「う、うん」

返事をすると美月はにっこりと笑い、今度は馴れ初めを話し始めたので慌てて部屋から脱出したのだった。

つい数ヶ月前の出来事。

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