灯火

「お一人ですか?」

話しかけられて窓に向けていた視線を慌てておじさんに移す。

「はい」

「そうですか」

うんうん、と頷くその仕草がなんだか可愛く見えてクスッと笑う。

「おじさんもですか?」

「えぇ」

『息子の顔が見たくなって』とおじさんは続け、斜め掛けの茶色い鞄から写真を取り出し私に見せてくれる。

「息子さんおじさんにそっくりですね!ほらっこの目の辺りとか特に!」

一気にしゃべるとおじさんは声を上げて笑った。

「誉められると嬉しいものですね」

< 38 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop