灯火
「お一人ですか?」
話しかけられて窓に向けていた視線を慌てておじさんに移す。
「はい」
「そうですか」
うんうん、と頷くその仕草がなんだか可愛く見えてクスッと笑う。
「おじさんもですか?」
「えぇ」
『息子の顔が見たくなって』とおじさんは続け、斜め掛けの茶色い鞄から写真を取り出し私に見せてくれる。
「息子さんおじさんにそっくりですね!ほらっこの目の辺りとか特に!」
一気にしゃべるとおじさんは声を上げて笑った。
「誉められると嬉しいものですね」