灯火
「今日私達は逢いにゆく人がいる。人は違えども目的は一緒です。あなたに会えて良かった」
「私もです」
その後は、車窓に差し込む太陽の光を浴び、過ぎていく景色に時折視線を映しながら、お互いの身の上話をして楽しい時間を過ごしていた。
「次は〇〇駅―」
まるで会話の区切りを見計らったかの様に車内に停車を告げるアナウンスが流れる。
「…私はこの駅で降りますよ」
「そうなんですか?」
『もう少し話したかったな』と、残念がる私を見ておじさんはクスッと笑った。
そのうち列車はホームへ到着しカタンと体を揺らすと停車した。
「頑張って下さいね!」
「ありがとう。お嬢さんもね」