雨催い<短>
わ、うわ、何、すごい。
「かっ、かっこい…」
失恋してすぐ、なんだ、って思われると思うけど、さっきまで不振者だと思ってた人物は、それはそれは美しく、私と同じく傘をさしてない姿は、まんま水もしたたたるいい男、状態。
『悲しいんだったら家、来るか?』
「ふえ?」
そんないい男から突然のお誘い。
「………」
ただ、寂しいだけ。
行きたいと思ってしまった気持ちをそう決め付けた。
『ん』
どうなんだと言わんばかりに差し出された左手。
私はそっと差し出されたその手をとった。
-END-