雨催い<短>
前向きの彼だって心は折れかけるもの。
『俺がいけないのかなぁ…?』
あくる日、今度は泣きそうな声で、片腕で顔を隠しながら。
涙を堪えているのか時折小さく声をもらす彼は、体は大きい筈なのに物凄く小さくみえる。
「っっ…」
震える肩、強く握りしめてる拳。
全てを抱き締めてあげたくて、思わず動いた自分の腕。
でも彼が顔をあげた瞬間もう少しで体温に触れかけた腕はあっけなく、私の背中に隠れた。
『ミユはどう思う…?』
“美優”
美しくて優しい。
「シュウは一生懸命努力してる。そんなシュウ、私は友達として大好きよ」
彼に見せてる私。
でも本当は、あんな女と今すぐ別れて私の所に泣き付いてきてほしいって思ってる。
汚なくて卑劣な私。