小野姉子のキャンパスライフ
そう、小野くんは100メートル走で1位にはなったものの、山田くんとは一緒に走ってはいなかった。



小学校なる『みんな仲よく平等公平に』を良しとする教育機関、運動会ではランダムで児童を走らせない場合が多い。



体育の時間に事前に100メートル走のタイムを計り、運動会ではタイムの近い者同士6人を一緒に走らせる。



この方式を導入する事によって、足の遅い児童でも1位になれるチャンスが生まれ、足の遅い児童があまりにも大差をつけられて、惨めな思いをする事も少なくなる。



よって、1番タイムの速いグループの精鋭児童達を相手に大差をつけて圧勝した小野くんは神足だと言っても過言ではないだろう。



そして、百貫デブ山田くんは1番足の遅い児童達のグループで走る。



アタシへの告白権の賭けの条件は100メートル走で1位になる事。



1番足の遅いグループで1位でも、1位には変わりはないのだ。



しかしながら、1番足の遅いグループで走るというアドバンテージがあるとしても、山田くんが1位になる事は不可能だと誰しもが思っていた。



『デブ男子小学生は鈍足なのがお約束』



この小学校lifeのお約束を覆す者など都市伝説の範疇だと思われていたからに他ならない。
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