泡沫-an empty dream-

「うん、そうだよ。逃げちゃいたい。入道雲の中の世界に、逃げちゃいたいって。」





「それは、入道雲の中の世界に、行きたいってことか?」

彼も珍しく、熱心にこの話を掘り下げてくる。



「――――――ううん。行きたかったんじゃなくて、逃げたかったの。」




「………」

彼は返す言葉もないようで、ただただ黙っていた。
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