アクアマリンの秘密
ガチャっとドアを閉める。
…これで一応紫紀さんにはバレない…はず。
あとは蒼刃に口止め…。


「あのね、蒼刃…。」

「なんだよ!!つーか腕離せ!!」

「わっ…ごっ…ごめん!!強く握りすぎた…っ…
でも別に蒼刃の気持ちは読んでないから…。」

「当たりめぇだ!!
で、なんだよ?なんでお前がヒール?白斗がいるだろうが…。」

「白斗さんに…何かあるかもしれない…じゃない。
そんなときにあたしがヒールを覚えてたら、治してあげられる。」

「白斗に…何かあるってなんだよ?」

「それは…別に可能性の話だよ。
明日何かが起こるとか、そういう意味じゃない…。
確かに今は…白斗さんだけでみんなの怪我の治療は間に合ってる。
だけど…もっと強い敵が現れたらどうするの?
絶対蒼刃は無茶ばっかりするし…いっぱい怪我しちゃうと思う。
そんなとき、あたしもヒールが使えたら…みんなの怪我、治せるし…。」

「別に俺の怪我なんか放っておけばすぐ治る。」

「治んないよ!!蒼刃は生身の人間なんだよ?
こないだだって…すっごく痛そうだった…。すごく心配だったんだから…。
白斗さんが蒼刃の傷を治すのを見て、いいなって思ったもん。
あたしもヒールが使えたら…蒼刃の傷、治してあげられるのになって…。
守ってもらうばかりじゃなくて、役に立てるのになって…。」


これは…本当の気持ち。

あたしは無力で、傷だらけの蒼刃をただ見つめることしか出来なかった。
それがあの時、すごく嫌で…

だから…魔導書がある今…
もし、あたしにその力があって、覚えることが出来るなら…。



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