アクアマリンの秘密
よく周りを見回すと、人々がみんな眠っている。
まるで死んでしまったかのように微動だにしない。
顔はとても安らかなのだけれど。


「どうしてみんな…?」

「説明は全部、この国を出てからになっちゃうな。今は時間がないからね。
ビシアスたちを蒼刃一人で抑えておくのには限界があるし。」

「急ごうっ!」


あたしの目の前に現れた『シップ』と呼ばれる不思議な乗り物。
見た目はまるで潜水艦。小さな丸い窓がいくつか付いていて、前のほうがちょっとくぼんでいて、そこが操縦席みたいになってる。操縦席の窓だけ横に長い。
桃依さんがボタンを押すと、後ろの方がパカッと開く。


「入って。」


その声に促されて中に入ると、見た目との大きなギャップに驚く。
シップの中は見た目なんかと比べ物にならないくらい広い。
細い廊下に沿うように両サイドにドアが6つ。
そしてその廊下を抜けたところに広いリビングのような場所。
そしてその奥が操縦席…なのかな?


「これっ…どういうこと…?すごく…広い…。」

「えへへー♪ボクの力作だよー!」


そう言って桃依さんが頬を染めて微笑んだ。


「桃依、この方角で合ってる?」

「うん。大丈夫。よしっ、離陸するよー!」

「え!?これ…飛ぶの?」

「うんっ!あ、水の中も進めるけどね。今は飛ぶよ♪」


桃依さんがそう言うと、すっとシップが浮き上がり、少しずつ風に乗っていく。


「あ、あそこに…。」

「緑志がいる!りょーくしー!」

「この中から言っても聞こえないよ。…あ、気付いたみたい。高度を下げて。」

「うんっ!」

< 11 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop