アクアマリンの秘密
さらけ出しても星来を困らせてしまうだけのオレの過去。
でも…星来なら、それを含めたオレを…
そのまま受け止めてくれるんじゃないかって…そんな甘いことを想像したんだ。
きっと泣かせてしまうだけなのに。


「あんな顔…させたくなかったのに…ごめんね。」


オレは誰もいない牢の中で呟いた。
届くことのない懺悔。
それでも言わずにいられなかった。

星来がとても感受性豊かで優しいということは、桃依の件で分かってたことだった。
桃依の故郷の荒廃した姿を見ただけで涙してしまうような子だ。
オレのこんな過去を聞いて、泣かずにはいられないだろう。
もしかして、蒼刃あたりに責めたてられて、紫紀がオレのことを話しているかもしれない。

「蒼刃…もし次に会ったら殴られちゃうかもな…。」

蒼刃のことだ。
オレの過去を可哀想だとかそんな風に思ったりせず、ただ…なんで言わなかったんだよって言って怒りそうだ。

「緑志は…隠し事はなしにしようよって諭してくるかな…?」

緑志は…ずっとオレのことを信頼してくれていた。
話してほしかった…きっとそう言うだろうね。

「桃依…は星来と一緒に泣きそうな顔してるかもしれないなぁ…。」

桃依は…本当ならもうこれ以上辛い思いなんてしなくていいはずなのに…
オレのせいで余計なモノまで背負わせてしまいそうだ。

「紫紀は…呆れてるかな。」

きっと紫紀は呆れてる。いや、怒ってるかもしれないな。
全てを押しつけたこともそうだし、紫紀は全てを知ってるから…。


「それでもやっぱり…ごめんねしか言えない…。」



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