アクアマリンの秘密
蒼刃さんは渋々、袖をまくって腕を出した。
白斗さんが蒼刃さんの火傷に手をかざす。


「ヒール。」


そう唱えた瞬間に、傷のあたりに温かい光が降り注ぐ。そして少しずつ傷が消えていく。
あたしが瞬きをした後には、その傷は完全に消えていた。

「すごい…。」


あたしの口から、自然と言葉が零れ落ちる。


「星来も訓練次第では出来るようになるよ。
魔力の基礎値は星来の方が上だ。」

「え…?」

「あ、もう少し落ち着いたら全部説明するよ。」


そう言って白斗さんはあたしににっこりと微笑んだ。
そして操縦室へ戻っていく。


またしてもあたしと蒼刃さんだけが残る。
再び口を開いたのは蒼刃さん。


「お前…本当に何も覚えてねぇの?」

「え?」

「自分の力のこととか、故郷とか、そーいうもん。
ナチュラルアースに来てからのことじゃなくて、その前のこと。」

「え…ちょっと待って…。
どうしてあたしがナチュラルアースの人間じゃないって知ってるの…?
あなた…ここに来る前のあたしを知ってるの?」

「質問に質問で返すんじゃねーよ。
お前は、本当に何も覚えていねぇのかって聞いてんだよ。」


真っすぐで、でも少し切なさを醸し出す蒼い目があたしを捉えて離さない。
でもあたしは、何も答えることができない。

…だって、彼の言うことは本当だから。
あたしは何も覚えていないから。

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