アクアマリンの秘密

「白斗を…解放…？」

「はい。
そして椿様、あなた自身のことも解放してください。」

「私…自身…？」

「…燈龍さんのことは…紫紀さんに聞きました。
嘆き哀しむのは最もなことだと思います。そして怒りの感情が湧き上がるのも…仕方のないことだと思います。
だけど…怒りの矛先は間違っています。」

「私が…間違っている…？」

「はい。
燈龍さんを殺したのは白斗さんではありません。
紛れもなくイアルです。
白斗さんの行動は…見殺しにしたのとは違うと思います。
それに…椿様は知っていますか？
燈龍さんの最期の言葉を。」

「最期の言葉…？」

「白斗さんは魔法を使おうとした。でも燈龍さんは止めた。
そして言ったんです。『生きろ』…と。
自分の命を白斗さんの命と引き換えにする気なんて、燈龍さんには全くなかったんだと思います。白斗さんの命は白斗さんのものです。
どんな理由があっても…それを故意に奪うことは誰にも許されません。
それを燈龍さんはちゃんと分かってらしたんだと思います。
だから止めたんです。
その燈龍さんの気持ちを汲んであげてください。」

「…お前に何が分かるっ…!!」