アクアマリンの秘密

荒廃した泉

* * *


シップに乗り始めて何日経ったんだろう。
しっかり数えていない。

やっぱりディープオーシャンで使った魔力は思いのほか大きかったらしく、結構ぼーっとする日々を過ごしてしまった。
魔導書には目を通してるけど。


「星来っ!!」

「わっ!!」


ソファーに座るあたしを背中から抱きしめてきたのは桃依。


「何を勉強してるの?」

「んー…『記憶』。」

「記憶?」

「そう。その人の過去の記憶を集中的に読むことって出来るのかなって思って月星の魔導書に触ったらね、そんな魔法があったの。だからそれを勉強中。」

「すごいねぇ…記憶を読むのかぁ…。
じゃあその魔法を星来がかけられるようになったらさ…。」

「うん?」

「ボクが赤ちゃんだった頃の記憶とか見れるのかな?」

「んー…多分。ってあたしに出来るか分かんないけどね。」

「星来ならきっと出来るよっ!!ボクが応援するもん。」

「ありがと、桃依。」


あたしはまた魔導書に目を向けた。
記憶を読んで…その記憶を別の人に…正確に見せることって出来るのかな…。
かつてそういうことをしたことはあるけど、あの時は『正確』である必要がなかった。
でも…今は違う。
今のあたしの力じゃムラがあって…出来るときと出来ないときがありそう。

いざって時に100%の力を出せるようにしておかなくちゃ…。

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