アクアマリンの秘密
「ご…めん…新しく思い出したことは…ない。
だけど…。」

「なんだよ。」

「前にもこう聞かれたとき、あたし、何も答えなかったでしょう?
でもね…ホントは一つだけ覚えてるの。ホントのホントにたった一つだけなんだけどね。」

「…話せよ。」

「…うん。あ、でも蒼刃にとってはつまらない話かも。
だってあたしのちっちゃい頃の記憶だし。」

「ちっちゃい頃…?」

「覚えてるのは…言葉だけなの…。
約束の言葉…。」

「約束…。」

「相手に申し訳ない話なんだけどね…相手の顔、全然覚えていないの。男の子だったってことは覚えてるけど…。
でもね…言葉だけは夢に見るくらい鮮明に覚えてる。」

「なんつったんだ?そいつ…。」

「『おれがまもってやるから。おまえのこと、ぜったい。』

「え…?」

「『やくそくな。』
あたし、なんでか知らないけど泣いてて…その男の子、優しくあたしの頭を撫でてくれて…
あたしはそれになんだか安心して、いつの間にか泣きやんでて…そして約束してくれたの。
それがあたしに残る…記憶、たった一つ。」


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