アクアマリンの秘密
「桃依。」

「なぁに?」

「お願いがあるの。」

「?」

「どうしてもフェイが華央さんかどうか確かめたい。
だから…黙ってこのまま行かせて。」

「だっ…だめだよ!!
だって星来が…。」

「大丈夫。あたしは死なないから。絶対。
だからお願い。行かせて。」


あたしはじっと桃依の薄桃色の瞳を見つめた。
その瞳は涙で潤んでいる。



「…じゃあボクも行く。」

「え?」

「ボク一人じゃ何にも出来ないけど…でも行く。
星来を一人にするの、嫌だもん。」

「…ありがと、桃依。
でも一個約束して?」

「なにを?」

「あたしが離れてって言ったら、すぐ離れて。危ないから。」

「…分かった。じゃあ星来も一個だけ約束して?」

「うん。なぁに?」

「…絶対死なないこと。ボク、もう嫌だから。悲しい想い、したくないから。」

「…うん。分かった。」


そしてあたしと桃依は、紫紀さんとフェイが戦う泉の方へと近付いた。


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