アクアマリンの秘密
* * *


紫紀と初めて会話をしたのは…人生で最も最悪だと言える日だった。

私は泣き場所を探して泉へと向かっていた。
今日は特に寒くて、雪がちらついている。
ここは魔力が強すぎて、国の大半の人々は近寄れない。
一人になるには…絶好の場所のはずだった。
それなのに…


この日こそ一人になりたかったのに、そこには先客がいた。


この場所に来ても平気な魔力を持つ者。


紫のやや長い髪。


鋭い眼差し。


今、泣いている私が絶対的に会いたくない相手。


とても…嫌いな人間。







それこそがまさしく朝霧紫紀だった。

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