アクアマリンの秘密
* * *


そのまま泉に通うようになって1週間が経った。
幸いなことに朝霧紫紀には出会っていない。

でも…どんなに泉に来て一人になったって私の心は落ち着くこともなく、やっぱり涙が零れてくるだけだった。
そしてその涙は…止まる気配もなかった。
私の涙に比例して、舞い落ちる雪の量は増えていった。
だけどその寒さなんて…何も感じなかった。



「どうして…私…私には使えないの…?」



溢れる涙がどんどん頬を伝って落ちていく。
その時だった…。



「また…泣いているんだな。」



私は顔を上げた。

声の主はもちろん一人しかいない。

泣き顔を一番見られたくない相手。



「朝霧…紫紀…。」

「紫紀で構わない。」



再会だった。
私は再会なんて望んでなかったのに。

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