アクアマリンの秘密
私はくるっと紫紀に背中を向けた。
そしてそのまま歩き出した…はずだった。
それなのに…。



「華央!!」

「…何よ?」



紫紀には似合わないくらいの大声で私を呼び止める。
だから私も思わず振り返った。



「泣きたい時に無理して笑う必要などない。
それは…たとえ君が有坂華央であっても同じだ。」




『私は…泣いてもいいの?』


そう問いかけたかった。

なのに…声にならない。







私はまた、涙が止まらなくなってしまった。

泣きたくなんかないのに。

こんな人の前で。

なのに…



私は嬉しかった。

紫紀の言葉が、ただ単純に。


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