アクアマリンの秘密
覚悟は…最初から決まっていた。
『…死なんて怖くないわ。』
そう自分に言い聞かせた。
半分本音で半分嘘だから。


「アゼンブル。」


そう唱えて、この国の生きている人だけを瞬間移動させた。
私の目の前に集まるたくさんの人。

…良かった…。まだこれだけの人が生きていてくれた…。
中には傷だらけの人もいるけど、白斗が治療すれば何とか治るわ。


「華央!!」

「紫紀…。」

「時を止めた上に生きている人間を瞬間移動させるなんて…
それに怪我はしていないのか?」

「だい…じょうぶ…よ…紫紀っ…。」


魔力の使い過ぎて一瞬目眩がする。
だけど今倒れることは出来ない。

思ったよりも魔力の消費が激しいのは、止まった時間の中で時を動かそうとするこの敵の魔力が大きいから…。



「紫紀は…怪我してるわね。
白斗に治してもらって。」

「俺の怪我なんて何でもない。
それよりこれからどうする気で…。」

「みんなを移動させるわ。
安全な場所へ。」








迷いなんてなかった。



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