アクアマリンの秘密
「華央!?」

「時間がないの。
相手の狙いは私と共鳴石よ。
これ以上…何の関係もない国民を危険に晒すわけにはいかないわ。
…これ以上…犠牲を出したくない。」


私一人の命と、全国民、そして紫紀の命を天秤にかけたら…。
もちろんあなたと全国民が勝つわ。


「ダメだ!!」

「シールド。」


私は紫紀の言葉を無視した。
そして自分の作りだしたシールドで、みんなを包む。
これで大丈夫…。
私の役目もあと少しよ…。全ての魔力を使って…みんなを救う。あなたを…救うわ。


私の作ったシールドのバリアの中に収まる紫紀。
その拳でバリアを叩く。
そして私の名前を呼ぶ。
声の元へと飛んで行きたかったけど…私はぎゅっと唇を噛んで我慢した。
ゆっくりバリアへと近づく。


「紫紀、止めて。」

「華央!!俺だけ出せ!!頼む…!!出してくれ!!」

「ごめんね紫紀…。やっぱり約束…守れそうにないわ。」



それ以上は言葉にならなかった。
涙が零れ落ちそうだった。
だから私はそのまま紫紀に背を向けた。


「華央っ!!」



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