アクアマリンの秘密
「え…?」


振り返ったのは…左腕が不意に掴まれたから。
あろうことか、紫紀の右腕だけがバリアを突破していた。でもそれ以上は出て来れないようだった。


「紫紀。離してっ…!!」

「嫌だ。」


そう言って強く私の腕を掴む紫紀。



…その手が好きだった。すごく。
そんなことが頭の中をかすめていく。
あなたの腕の中もすごく好きだった。

幸せだった。
満ち足りた毎日だった。
紫紀がそばにいるだけで…私は本当に幸せだった。幸せだったの。

私はずっと欲しかった…。
私の全てを…ありのままの私を受け止めてくれる存在が…ずっとずっと欲しかった。
私の本音を見抜いて、抱きしめてくれる人がずっと欲しかった。

ありがとう。紫紀。
あなたが私にくれたものは…数えきれないわ。
全ての感情をくれた。
恋も愛も、失うことの恐怖も、立ち向かう勇気も全て、あなたがくれたのよ、紫紀。

だから今度は…

私があなたに返すわ。

私を満たしてくれたから、

私の全ての魔力を使って…

あなたの命を救ってみせる。

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